玄関のドアスコープから女性の着替えを盗撮。単眼鏡を悪用した手口が明らかに
玄関ドアのドアスコープ(のぞき穴)から、室内がのぞかれたり、盗撮されたりする被害が各地で起きている。本来は外から見えない構造になっているが、美術鑑賞などで使われる単眼鏡(小型望遠鏡)を悪用する手口がネットで拡散。気づかないまま被害に遭っているケースが多いとみられ、専門家は小物で穴を塞ぐなどの対策を呼びかけている。
被害気づかず
「ネットで盗撮する方法を知り、ストレス発散のためにやった」
京都府内のマンションで2020年9月、玄関のドアスコープから室内で着替えていた女性を盗撮したとして昨年8月に府迷惑防止条例違反などで起訴された府内の男(42)は、読売新聞の取材に、消え入るような声で話した。
起訴状や検察側の冒頭陳述などによると、男は女性宅前の通路からドアスコープに単眼鏡を取り付け、スマートフォンのカメラで動画を撮影。自分の好みの女性を探すため、別のマンションも巡ってのぞきを繰り返していたという。
昨年12月に京都地裁で開かれた公判で、男は「多い時は週2回、仕事帰りにのぞいていた」と説明。女性は男と面識がなく、府警が捜査するまで被害に気づいていなかったという。
男は今年1月、懲役2年、保護観察付き執行猶予4年(求刑・懲役2年)の有罪判決を言い渡された。男は取材に「簡単なのではまってしまった。被害者に申し訳ないことをした」と謝罪した。
なぜ見える?
ドアスコープは、室内から訪問者の姿を確認するためのものだ。光の屈折を利用して広範囲が見られる魚眼レンズが使われ、外側からはほぼ見えない仕組みだ。
しかし、同じような構造の単眼鏡の接眼部をドアスコープにあてると光の屈折が相殺され、通常のガラスのように、外側から室内が見通せるようになるという。こうした手口はネット上で広く紹介され、警察幹部は「摘発は氷山の一角で、今後さらに被害が増える可能性がある」と語る。